
はじめに

前回(第3話)では、MD構成の最適化とバランスについてお話ししましたが、その中でも「ギフト需要」がどのような役割を果たすのかは大きなポイントになります。
ラグジュアリーリネン市場を日本で広めるにあたっては、自家需要だけでなく、ギフト需要の活用が鍵となるのです。
ホームカテゴリはライフイベントとの親和性が高い点が大きな強みです。
たとえば引っ越しや新築祝い、結婚祝いや内祝いなど、住まいに関わるイベントが定期的に発生し、その都度“生活の美意識を贈りたい”という需要を見込みやすいと考えられます。
また、ライフイベントのギフトでは、「消えモノ」よりも記念に残るものを求める傾向があり、長く使えて、かつ“重く”ならないアイテムなら価格が1万円を超えても比較的選ばれやすいのが特徴です。
今回は、ギフト市場におけるラグジュアリーリネンの役割と、戦略的な活用法について掘り下げていきます。
ギフト需要は全体の20%
自家需要とギフト需要の比率は8:2となっています。
ギフトはブランドを知らない方にも広める、一種の“広告”のような存在と言えるでしょう。一方で、自家需要とは異なり、同じ方が繰り返し購入するケースは少ないため、必ずしも商品数を多くそろえる必要はありません。それでも、主要なポイントはすべて押さえておくことが重要です。
下記に、商品を企画する際に押さえるべきポイントをまとめました。
ギフト商品のコンセプト
- 1万円台・2万円台・3万円台のアイテムを用意する
- 男女問わず送れるようにする
サイズに左右されない選びやすさ
- 体型を問わないアイテム(タオル、バスローブ、ホームフレグランスなど)を中心に
上質なセット提案
- 単品をバラバラに贈るのではなく、組み合わせることで世界観を演出
- 例:タオル+ハンドクリームのセット、スロー+ディフューザーなど
“重くならない”心配り
- 長く使えるアイテムでも、過度にパーソナルすぎない配慮
- “特別な贈り物”でありながら、気軽に取り入れやすいことが重要
パーソナライズ
- イニシャル刺繍や名入れ、香り・カラーを選ぶ仕組みなど、小さなカスタマイズで特別感を高める
今後の展開
ギフト需要は全体の20%と決して大きな割合ではありませんが、ブランドを広く知ってもらうきっかけになるなど、単なる売上以上の効果があります。今後は、シーズナルなプロモーションや専用パッケージの開発など、ギフト特化の施策を検討していきたいと考えています。
次回
次回は、コンテンツの視点から戦略を深めます。昨年ショールームを作った経験を活かし、ショールームを中心にどのように世界観を広げていくかについて考察してみたいと思います。