

今日は、ビジネスモデルについてお話しします。
先日、銀行の方に「斜陽産業を盛り上げていてすごいですね」と言われました。
斜陽産業?少し驚きましたが、改めて考えてみることにしました。
確かに、寝具業界はDXやAIのような急成長分野ではありません。でも、人々の暮らしに欠かせない市場です。だからこそ、新しい価値を加えることで、まだまだ可能性を広げることができる。
変化しにくく、昔から続いてきた習慣が根強いからこそ、斜陽産業と見られるのかもしれません。しかし、それはチャンスとも言えます。
私たちのビジネスモデルは、「成熟市場 × リブランディング × 店舗展開」。
ただ、寝具を売るのは簡単ではありません。アパレルとは異なり、購買行動や価格の捉え方が大きく違います。そのため、慎重に練った戦略をお伝えします。
ベールに包まれた寝具、その販売の難しさ
寝具は、ベールに包まれた商材。だからこそ、売るのが難しい。
例えば、「アパレル」と聞けば、すぐに代表的なアイテムが思い浮かぶはず。
革のジャケット、デニムジャケット、ツイードのブレザー、ストライプのシャツ…。
でも、「寝具」と聞いて、ファッションのように立体的にイメージできるでしょうか?
おそらく、多くの人にとって、寝具は「白いシーツ」や「ふわふわの掛け布団」といった漠然としたイメージにとどまります。つまり、ブランドごとの特徴や違いをパッと思い出せる人は少ない。
その結果、価格の許容度が上がりにくく、衝動買いも起こらない。さらに、必要なとき以外は購入の選択肢にすら入らない。
さらに、同じ価格帯でも、商品カテゴリによって感じ方が大きく異なります。
例えば、20,000円のシーツは「高い」と感じるのに、20,000円の香水には躊躇なくお金を出す人が多い。 これは、馴染みのないジャンルほど「今のもので十分」と思われやすいからです。
シーツや寝具は長く使えるのに、「まだ使えるから買い替えなくてもいい」と考えられがち。アパレルや香水のように「気分を変えるための買い物」としての要素が少ないため、価格に対するハードルが上がります。
この「ぼんやりした存在感」こそが、寝具販売の一番の難しさ。
では、どうすればこのベールを取り払えるのか?次に、それについて考えてみます。
寝具市場でリブランディングが必要な理由とキモ
寝具の購買行動の特性を考えると、単に「良い商品を作れば売れる」というわけではありません。
大切なのは、寝具に対する価値観を変え、「選ぶ楽しさ」を提供すること。
私がブランディングで最も重視しているのは、「お客様の判断基準=世界観」 に寄り添うことです。
世界観を通じたリブランディング
だからこそ、ブランドの世界観を通じて、「寝具を選ぶ楽しさ」そのものを再構築する ことを大切にしています。
例えば、ホテルライクインテリア では、「寝具 × 海外のコンセプト」 という視点を取り入れています。
お客様にとって、「海外のホテル」や「インテリア」という世界観は、すでに馴染みのあるもの。だからこそ、寝具もその延長として自然に選ばれるようになります。
また、トーキッドホテル は、「寝具 × ファッション」 をテーマにしたブランドです。
ファッションが大好きなお客様にとって、寝具を選ぶことも「スタイルの一部」として楽しめるように設計しています。
また、私が幼い頃からあった遠赤外線の健康ウェアが、今ではスポーツや健康をテーマに進化し、寝具フロアでも注目を集めるようになりました。業界全体が盛り上がるのはとても興味深いことです。私自身スポーツにも興味があるので、こうしたアイテムを見ると、思わず手に取ってしまいます。
お客様が持つ判断基準=世界観を共有することで、寝具選びをもっと楽しく、もっと身近なものに変えていきたいと考えています。
次回:「海外のトレンドを持ち込んでも売れない?」商品企画のバランスとは
今回は、寝具市場の特性とリブランディングの重要性 について書きました。
次回は、「海外で人気のトレンドをそのまま日本市場に持ち込んでも売れない理由」 について、具体的な事例を交えながらお話しします。
例えば、ヨーロッパで人気だった「ファーのベッドスロー」を日本市場で販売してみたものの、意外な反応が返ってきた話など、実際の経験をもとに商品企画のバランスについて深掘りしていきます。
次回もぜひご覧ください!