
ホテルライクインテリアの商品名にはスレッドカウントが記載されています。
シーツや掛け布団カバーなどの商品名にスレッドカウント(TC)を記載しています。
これは、スレッドカウントが寝具の品質を判断する際の一つの目安になると考えているからです。また、ホテルライクインテリア商品に用いられている糸は「単糸」であり、双糸では得られない自然な風合いや柔らかな肌触りを大切にしています。
“スレッドカウント”との出会い
15年ほど前、会社設立を考える際に日米の寝具市場の違いに注目し、アメリカ市場を調査していました。その中で、シーツの販売現場では「スレッドカウント」が品質の指標として使われていることに気づきました。
アメリカの百貨店では、300スレッドカウント以上が高品質とされ、中には1200スレッドカウントのシーツまで明確に表示されており、消費者に品質が一目で伝わる仕組みになっていました。その数字に強く魅かれ、さまざまなシーツを試すきっかけとなりました。
特に印象的だったのは、とある百貨店で「1000スレッドカウント」と書かれたシーツを手に取ったときです。指先で触れると、驚くほどツルツルしており、それまで経験したことのない滑らかな感触でした。
「こんなシーツがあるんだ…」と興味を持ち、思わず自分用に購入してみたのです。
日本に持ち帰り、初めてそのシーツを敷いた日のことは今でも覚えています。
眠る前に肌に触れた瞬間、「え、これ紙みたい?」と驚きました。とにかく薄くてツルツルしていて、まるでシルクのような滑らかさ。
でも、実際に寝てみると、身体を包み込むような心地よさがあり、「スレッドカウントが高いと、こんなにも質感が変わるのか」と実感しました。
しかし、スレッドカウントだけでは判断できないと気づく
それ以来、いろいろなスレッドカウントのシーツを試してみましたが、あるとき、
「同じ1000スレッドカウントのはずなのに、妙にゴワゴワしていて分厚いシーツ」に出会いました。
最初は「質感の違い?」と思いましたが、よく調べると、そのシーツは実際には糸を二重にしてスレッドカウントを水増ししているものだったのです。
双糸は本当に「ズルい」? よくある誤解と正しい見方
糸を2本撚り合わせた「双糸(そうし)」は、本来「強度を高める」「光沢を出す」「毛羽立ちを抑える」などのメリットがある正当な技術です。しかし一部のメーカーが、双糸をそのまま2本の糸として数え、スレッド数を実際よりも多く表示しているケースがあります。
たとえば、本来なら200本相当の密度しかない生地を「双糸だから400本」と表示して、高級感をアピールするような例です。こうした表示は消費者に誤解を与えやすく、双糸そのものの評判を落とす原因にもなっています。
もちろん、すべての双糸がそうした “水増し表示” を行っているわけではありません。信頼できるメーカーは、双糸のメリットや正確なスレッド数をきちんと伝え、品質を正しくアピールしています。実際、双糸の生地は丈夫でヘタりにくいため、洗濯の回数が多い寝具やタオルなどには適した素材なのです。
もし「双糸ってズルいのでは?」と疑問に思う場合は、メーカーがスレッドカウントと番手を正しく理解し、正確に表示しているかを確認してみてください。口コミや実際の使用感も参考になるでしょう。そうすることで、耐久性と肌触りが両立した納得のいく製品に出会えるはずです。
スレッドカウントは無意味なのか?――指標としての意義と限界
では、「スレッドカウントはもはや意味がないのか?」と言われると、それも違います。
スレッドカウントだけでは品質を語れませんが、選ぶ際の指標の一つにはなると考えています。
たとえば、当社の400スレッドカウントと500スレッドカウントでは、肌触りや寝心地が違います。
▼掛け布団カバーのラインナップ
https://www.modernrattan.net/SHOP/23708/list.html
その違いをお客様に伝える上で、スレッドカウントの数値を活用することは、一定の意味があると考えています。
つまり、世の中のすべてのシーツの中でスレッドカウントを比較するのではなく、ホテルライクインテリアの中で商品を選ぶ際の目安としてご案内しています。
今、本当に大切にしているのは「綿そのものの品質」
現在、私たちが取り扱う歴史あるブランドの多くは、もはやスレッドカウントを公開しない傾向にあります。
近年、1000TC以上を謳うブランドが増えましたが、綿そのものの品質が伴わないケースも多く、スレッドカウント=高品質というイメージは、もはや成り立たなくなっています。
そのため、PratesiやSFERRAといったブランドは、TCではなく、使用される綿の品質そのものをプレゼンテーションの軸にしています。
私たちが考える本当に良いシーツとは、例えばGIZA45やエジプト超長綿のように、原料の優れた特性をしっかり実感できるもの。
スレッドカウントがすべてではない
そう確信するようになったのは、実際に多くのシーツを試し、長年使い続けてみた経験からでした。数字に惑わされるのではなく、素材そのものにこだわることが、本当に心地よい眠りにつながるのだと、今では確信しています。